そこなしハッピーエンド4

本の話とかアイドルの話とか。

赤川次郎『吸血鬼はお年ごろ』担当:前田美月

吸血鬼はお年ごろ (集英社文庫)

吸血鬼はお年ごろ (集英社文庫)


 長編シリーズを多く抱えることで有名な赤川次郎が少女小説レーベルのコバルト文庫で発表している作品。作者の他作品と同様長期に渡って続いており、1981年の本作発表から未だに新刊が出ている。
 吸血鬼の一族である女子高生のエリカとその父を中心にドタバタと殺人事件などを解決するコメディ小説。一部現代の中学生が読むと意味が取れないと思われる言葉遣いがあるのを除けば今でも楽しく読めるので驚いた。
 本文中に使われていた「翔んでる」という当時流行語だった表現が、同じ頃出版された山口百恵『蒼い時』にも出てくるのが面白くて、世代を横断した流行が成立していた時代を感じる。『翔んだカップル』は70年代末の連載なので回想文である山口百恵の本はともかく赤川次郎のほうは出版時点で微妙におっさんくさかったのではという気もしますが。たぶん狙ってやってるように思う。