安達哲『さくらの唄』うらやましくない青春時代 その1
- 作者: 安達哲
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あああ ぼくはなにかやらかしてみたい
そんなひとときを青春時代と呼ぶのだろう銀杏BOYZ『青春時代』より
題名と内容は随分前から知っていたものの未だ読んでいなかった『さくらの唄』を、機会があったので読みました。
どうしようもなくて、とっても暗くて、とっても明るくて、読めば読むほど生きる希望が沸いてくる良い話を描く作家さんですね。思わず残りの作品全部注文しました。
最終話の一話前、ヒロインが泣き笑いするしかないシーンが、全てではないでしょうか。青春とはそういうものだということを表した、素敵なシーンでした。読者としても、もう笑うしかないという。
瀬戸口廉也さんの『CARNIVAL』や『キラ☆キラ』に似た雰囲気を感じたので何でかなとおもったら、この方は『キラキラ!』というマンガも書かれているんですね。瀬戸口さんも影響受けていたのか…!『キラ☆キラ』の題名が引用だったとは知りませんでした。
僕にとって”青春時代”とは、きたなくて、きれいで、望郷の念にも駆られるけれど、二度と戻りたくないひとときの事を表す言葉です。
どうしようもなく馬鹿らしく過酷な青春模様は、そのうらやましくなさゆえに、追い詰められても狂うことすらできない普通の人間に救いと希望を与えるように思います。
そういった意味で、傑作と呼べる作品に出会えました。面白かったです。