そこなしハッピーエンド4

本の話とかアイドルの話とか。

蒼山サグ『ロウきゅーぶ!』7巻

ロウきゅーぶ!〈7〉 (電撃文庫)

ロウきゅーぶ!〈7〉 (電撃文庫)

女子小学生のミニバスケットボールチームと、そのコーチである高校生の男の子の交流を描いたシリーズの7巻。
アニメ化も決定したようで、競技描写と、てぃんくるさんがなかなかイラスト化しない主人公や脇役のデザインがどうなるかが楽しみです。

このお話は、一年間の部停止という形で今まで打ち込んできたものを断ち切られた昴くんが、子供たちとの交流を通して、失ったものを受け入れる/まだ何も失っていないことに気づくビルドゥングス・ロマンしての軸と、女子小学生マジかわいい/健全な成長を描く軸とが交わるボーイミーツガールなわけですが、非日常から日常への帰還、物語の終わりが引き伸ばされ続けることにより、少女たちの成長は描かれても、昴くんはまなざす主体であって成長の主体としては描かれてきませんでしたので、異世界への取り込まれ、ナルニア落ち的な匂いすらする状態にみえないこともありませんでした。今回の話は、そんな昴くんにとって既に現在の場が仮の宿でありつつも日常の場であり、停滞しているわけでなく前へ進んでいる事を確認する前提変換の回。チェンジ・オブ・ペース。って本文中で書かれてましたね。山際淳司臭がまた増してる! 語りの執拗さは若干角がとれたような気がしました。