2009年上半期ライトノベルサイト杯に参加します。
2009年上半期ライトノベルサイト杯に参加します。
基準:10年後まで本棚にあるであろう本。
曲矢さんのエア彼氏 木村くんのエア彼女
- 作者: 中村九郎,うき
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/03/19
- メディア: 文庫
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【09上期ラノベ投票/新規/9784094511222】
初めて読んだ中村九郎さんの本。エア彼氏という字面だけで既に勝ってる感が強い。おかげさまで、山崎まさよしから魔女の宅急便までの間に存在する『AURA』、唐辺葉介さんの小説、『スタンドバイミー、スタンドバイユー』等の作品群をエア彼氏/エア彼女ものとして認識できるようになって万々歳です。『秒速5cm』は含みますか。ライトノベルでこの類がちょくちょくあるのは、ティーンズ向け小説だからなのかな。イマジナリーフレンズを見ることを出来るのは子どもだけですし。
子どもの主観でトトロが見えているからと言ってトトロが実在するとは限らないんですけど、大人の主観で見えないからっていないとは限んないよね。
犬憑きさん (上)
- 作者: 唐辺葉介,Tiv
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2009/03/27
- メディア: 新書
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【09上期ラノベ投票/新規/9784757525375】
唐辺さんが男の子をかくと”囚われてしまった男”のお話になりますし、少女が主人公なのはそうきましたかと膝を打つ。
キキはジジと話せなくなって、他者がうんたらかんたら社会がうんたらかんたらなのですよ。僕はよくしらない!
大丈夫になってしまうのだ。とても悲しいことだけれど。
- 作者: 蒼山サグ,てぃんくる
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/02/01
- メディア: 文庫
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この本のおかげで随分幸せにこの半年生きてきました。この先5年のライトノベルを背負って立つ作家の1人。いくらでも大げさにいう。
ライトノベルは異形の作品ちょくちょくでてきて話題をさらうのだけれど*1、ロウきゅーぶはあまりにこなれ過ぎている為、2巻まで読んだ人から「普通に面白いけどもういいや」等と言う声が聞こえてきて怖い。
ロウきゅーぶはまごうことなきボーイ・ミーツ・ガールものです。
ボーイ・ミーツ・ガールとは、動機と彼女と、時には手段までお空から一緒に振ってきて、それはもう人生が楽なお話の事です。*2
ライトノベルでは”少女の人生の物語”に無遠慮に主人公が踏み込むことで物語が駆動していくものが多いのですが、ロウきゅーぶは主人公がその暴力性を持たない。その点が気にいって読んでいるのですけど何故そうなのかをちょっと考えます。
ボーイ・ミーツ・ガールにおいて、”少年の人生の物語”とは帰還を描くことを指します。『ゼロの使い魔』だと、いつか必ずサイトが自分の世界に帰る/魔法世界に残ることを選ぶ話が描かれますよね。
ロウきゅーぶにおいて特異なのは、”少女の人生の物語”という異世界へ巻き込まれ/踏み込んだ少年が、自らの物語/世界へと回帰していくことによって最後に描かれるはずの少年の帰還が、物語の最初の1巻で、描かれているということです。
少年は少女達を通じてバスケを取り戻し、少女達はバスケと出会う。一方的な関係ではなく、両者が両者の世界と出会うことによって、自ら変化し、成長していく。なんて健全な。
主人公の昴くんは、1巻が終わった時点で既になくしたものを取り返していて。だから彼にとって2巻以降は永遠の8月でも学園祭準備期間でもなく、1年間の部停止という期限の決まったロスタイムです。
では、それ以降この物語は何になるのかというと。当然”少女たちの物語”です。なにせ小学6年生、伸びしろは無限大。
彼女たちは昴くんと、バスケットボールと出会ったことで、自らの力で自らの幸福の追求の為に指向し生きることを身に付けた。
そんな彼女達の物語を、まだまだ何冊も読めるなんてなんて幸福なことでしょうね。
1巻完結の短編から人気のある限りいつまでも続けられる長編へ、という流れはライトベルの常ですが、その為の構造を新人賞受賞作のしょっぱなから組んでくる珍しい作品。ただロスタイムの長さを完全に確定させているのは、自分の制御できる範囲でおさめちゃってるようにもみえるかもなー。そこが好きなのだけど。壁をつき抜ける作品には見えないかもですが、僕には既に壁の向こう側にいる作品のひとつに見える。今から3巻の感想の準備をしておこう。
戦闘城塞マスラヲ Vol.5 川村ヒデオの帰還
戦闘城塞マスラヲ Vol.5 川村ヒデオの帰還 (角川スニーカー文庫)
- 作者: 林トモアキ,上田夢人
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/12/27
- メディア: 文庫
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副題にもあるとおり、最終巻、”帰還”を描く物語です。ロウきゅーぶと並べて語られずにはおけない。
就職活動に失敗し引きこもり、なんのとりえもないニートとなっていた主人公は、戦闘美少女と出会い、異世界に飛び込み、そして何を持って帰還するのか。
答えは就職先です。公務員。すばらしい!
現在ザ・スニーカーで連載中の、主人公が就職した後のお話もとっても楽しい。はやく単行本にまとまらないかなー。
原点回帰ウォーカーズ
- 作者: 森田季節,深崎暮人
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2009/01
- メディア: 文庫
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帰還云々と言っていたら、このタイトルだったりするわけですよ。
アキラと章夫で名前が2文字かぶっていることの意味をずっと考えているのだけど、特に浮かばない。
- 作者: 石川博品,うき
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/01/30
- メディア: 文庫
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この作品とエア彼氏の絵師が被っているのは、とても素敵な偶然だとおもいます。
今の所ちょー面白いとしか言えない。2巻で終わりなんだろうか、3巻があったりするのだろうか。今期必読は、まあこれですね。
以上6冊。全て今年初めて読んだ作家の作品なのですが、半期で6人、月1人ペースで今後10年新作出たら必ず買うレベルの作家に出会えるだなんてなんて幸せなことでしょう。やっぱり今が一番面白いよね。