犬村小六『とある飛空士への恋歌』感想
- 作者: 犬村小六,森沢晴行
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/02/19
- メディア: 文庫
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主人公のカルエルくんは元皇子。革命により両親を失い、自分もそのうち適当に処理されちゃうのでしょうというところで、親切な町の機械工に拾われ二人の姉と一人の妹が出来ました。よかったですね。
それから6年が経ち、立派にひねくれた若者に成長したカルエルくん。かつて自分の居場所を喪失してから結局新しい居場所を見出す事が出来なかった彼は、6年間を過ごした町を旅立つ事となります。大切なものは目には見えないんですね。
空を飛ぶ島、イスラ。世界の果てを目指す旅に出るその島に、彼は飛空科の学生として乗り込みます。
彼には目的がありました。イスラには、かつての革命の旗印であった少女、二ナ・ヴィエントが搭乗していたのです。
主人公が何もかも喪失する所から始まる物語。
幼馴染は青春を喪失するための常套手段ですよね。
学校は恒久的な居場所足り得ないのですね。
ああ、恨みをぶつける対象も喪失するわけですね。
主人公が、どこまでも飛んでいくビジョンが見える。
一冊で、終わって欲しいよう。
読者って勝手だなあと思った。
基本的にこのシリーズは、将来的にたどり着くであろうワンシーンのためだけに存在する物語だと思うので、続くをやられるとちょっと困る。欲求不満です。読むのは完結してからで良いかも。
ふたり乗り、美しいですね。