竹宮ゆゆこ『とらドラ10!』感想 魂の双子の物語
ふたり手を取り合って走り出した竜児と大河。しかし、どうしようもなく地に足の着いた彼らが、逃避行など出来るはずもなく、大団円。
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あらすじ力尽きた。
逃避行できない、しょぼさこそが、とらドラらしさなんでしょう。
竜児は知ったはずです。世界が美しくなんてない事を。それでもなお叫ばれた言葉だからこそ、竜児が進路希望調査票に書いた言葉は、キラキラ輝き意味をなすはずなのですけれど。
失ったものを取り戻せてしまうのなら、それは青春でもなんでもないと思います。
竜児と大河はその境遇ゆえに、お互いのことを理解しあえます。*1
でもそれは鏡を見ているようなもので。本当の恋愛に発展するようなものなのかどうか、何らかの答えが提示されると思っていたのですけれど。
「モラトリアムの肯定」と、答えを永遠に保留してしまうのは、ちょっと違うんじゃないかな。
「……元通りには、ならないよ……」
「でもちゃんと光ってる」『とらドラ7!』P179
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楽しい時間が、子供にはどうしようもない要因によって終わってしまう事はあるでしょう。
とらドラは、子供達がそういったものに抗う力をもたない姿を描いてきましたし、だからこそ竜児は早く大人になりたいという思いをもっていました。
そういった子供達に、まだ子供でいて良いんだよ、といってあげる話は、まあわかるし、決して嫌いではないです。
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つまるところそういう話だったのだと思うのですが、あまりよくない方向にずれて着地したような。
10巻という巻数で完結したのは、ラノベとしては幸せな事だと思います。楽しませてもらいました。
*1:少なくとも理解しあえたかのように振舞えます。